« mtrlzng I » | [gh/e] | ジーエイチイー

materializing15_872.jpgghe_she_2013JUNE-42-90-1024x680.jpggh/e 『she』『彼女』

material: plaster, cement, gravel, water
素材:石膏、接着剤、セメント、砂利、水
Production support: shibuya.zuko / /
制作協力: しぶや図工室

a best method to recall missing parts of an object or to join one object to anothoer

無くなった部分について思い出す、もしくは、2 つの物体を接合する最良の方法


 

[essay: 情報と物質とそのあいだ]

 

– 質という言葉がある。質は、何を指し示すだろうか。また質は、何によって指し示されるだろうか。質は、元を、集合を、要素を、総体を、部分を、 全体を、 指し示すだろうか。また、質は、行為によって、操作によって、処理によって、手続きによって、方法によって、手法によって、指し示されるだろうか。

– 文章を書いていると、何を書きたいのか、わからなくなることがある。そういったときに、総体に一貫性した意図をもたせようと苦悩するのは、愚かだ。そういったものは、だいたいにおいて、無駄な苦労になる。それよりも、言葉選びや口ぶりなど、文章の質感のようなものの方を尊重するほうが賢明である。

– アノニマスな音声群による喧騒において、特定の音を聴き取るのは難しい。音は音によって消去される。一般に言われる静寂は、環境音によって満たされている。そのような意味で、最大の静寂は、最大の喧騒と同意味であるだろう。静寂は、ある種の喧騒であり、質を伴っている点において、無音とは異なる。

– 例えば作品について、要素を見ているだけでは、だいたいにおいてそれが何であるかはわからない。ある程度それが累積していくことで、大体のイメージが湧いてくる。ただ全体を把握するのは常にむつかしい。全体というのはいつも、どこからどこまでが全体なのかわからない。芸術は例としてわかりやすい。

– スティーブ・ライヒの音楽的手法は逆説的であり、その手法はポリフォニックであると同時にモノフォニックでもある。主題は、過度に反復され、重畳される。極端に多声化されていく過程のなかで、主題の輪郭は崩れ、意味は失われていく。重層化によって去勢された主題は、脈動する音響へと変化していく。

– 情報/物質は、意味され/意味し、質を持たず/質を持ち、内- 焦点化されて/外- 焦点化されて、具象的な概念を/抽象的な感傷を提示し、事実を構造化/解体する。情報と物質のあいだは、意味しつつ意味され、多- 焦点化された、全体性にもとづく感覚によって提示された、新しい質によって示されうる。

– 誰かが「本当にどうでもいいのに、どちらかに決めないといけない時がたまにある。そういう時はサイコロを振るようにしている。そのためのサイコロを筆箱に入れてある。」と言っていた。本当にどうでも良い要素はたまにある。もしかしたらそれはどうでもよくないのかもしれないが、本当にどうでもいい。

 



[略歴] (2013/06)

作家ユニット。砂山太一、御幸朋寿、永田康祐による。

http://ghe.jp/

永田康祐
1990年愛知県生。東京芸術大学美術学部建築科卒業。同大学大学院美術研究科建築専攻修士課程在籍。

砂山太一
1980年京都府生。Ecole Speciale d’Architecture修了。2009-2011 JAKOB+MACFARLANE勤務。東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻博士後期課程在籍。東京大学非常勤講師。

御幸朋寿
1981年ミャンマー生。東京芸術大学大学院美術研究科建築専攻修了。同大学院博士後期課程在籍。


[主な作品]

ghe_03ghe_1

4D ORIGAMI@LOEWE展2013

「UNIT ORIGAMI」は1枚の板(発砲塩ビシート)に特定の切れ込みと折線を入れ、捩りながら折っていくことによって螺旋状の形態を得る。この御幸折(御幸朋寿が開発)は、どこか1カ所を折ると他の部分もすべて連動して折られるという特徴を持っている。ここではそれらを相互に連結してリジッドな構造体を成立させ、店舗全体の空間を構成。一部はスペイン・バルセロナへ巡回。

会期:2013年2月20日(水)〜25日(月)

会場:日本橋三越本館7F特別催事場LOEWE展2013(ディレクション:藤元明)

(制作・設置協力:町田美菜穂 小山祐輔 伊郷光太郎 矢部正憲 伊藤慶虹)