« mtrlzng III » | 鈴木雄貴

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(撮影:来田猛)

『AP-LENS』

デジタル工作機械とオープンコミュニティの接触は新しいものづくりの「生態系」を生み出す可能性がある。1例としてカメラレンズをモチーフに市場には存在しない涙滴型を制作した。それは被写体の視線をカメラへと引きつけ、周辺を滲ませたポートレートをつくりだす。


 

[essay: 情報と物質とそのあいだ]

20世紀のものづくりでは、プロとアマチュアの間に製造技術やノウハウ習得の有無によるギャップが横たわっていました。しかし近年の卓上加工機器の登場はそれを壊す可能性を生み、アマチュアの製品、特にWebと密に結びつきオープンリソースを生かす設計方法の実現はその可能性を後押しします。そういった背景を視野に入れ、レンズをモチーフとするデザインの可能性を展示します。

Web・コミュニティ・工作機器との繋がりを持ち、それらの関係性が製品の改変・継承を促す機能を実現している状態を利他的と呼んでいます。アマチュアによる設計行為を後押しする設計環境を設計することで、製造が不特定多数の流動的なリソースにより支えられる製品像を提示しています。

製造に関わる人を見直すためのデザイン.もし、アマチュアが自分自身の手でカメラレンズを作る事ができるならどんなレンズを生み出すのでしょうか?デザイナーがwebサービス(関係性)やエンジニアリング(光学設計)をデザインし、アマチュアと設計・製造プロセスとの仲介をおこなうことで、他人の力を借りたり、他人に力を貸したり、人の繋がりを製造プロセスへと活かすことのできるデザインの生態系を提示できるのではないでしょうか。

 



◉[III]出展者プロフィール

鈴木雄貴
京都精華大学プロダクトデザイン学科卒業後、IAMASに入学、製品を取り巻く関係性について学び作品を制作、展示発表をおこなう。現在は京都のユーザーインタフェースデザインファームであるsoftdeviceに勤務しつつ、個人ではアーティスト・イン・レジデンスのサポーターとしてメディア・オーサリングなどで制作に関わっている。現在、デザインに関わるその大半は金銭と関係を持つマスプロダクトだが、一方でそれを排したプロダクトをデザインしたいと考えている。


 

◉主な作品

III_suzuki[AP-LENS]

デジタル工作機械とオープンコミュニティの接触は新しいものづくりの「生態系」を生み出す可能性がある。1例としてカメラレンズをモチーフに市場には存在しない涙滴型を制作した。それは被写体の視線をカメラへと引きつけ、周辺を滲ませたポートレートをつくりだす。