立体作品
造型機:EOSINT
指揮者:小森 康弘
計測技術協力:東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻
中村・高野研究室
平面作品
指揮者:小森 康弘
計測技術協力:東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻
中村・高野研究室
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本作品はリアルタイムな動きをデジタル表現として取り入れ、立体作品として成立させることを目的とした作品である。モーションキャプチャにより楽曲間の指揮者の手の軌跡を計測し、計測数値から3 D データとして形を抽出。また計測数値を置き換えた平面作品も同楽曲を表している。時間や音楽といった目に見えないもの、それらを見えるかたちに置き換えた作品である。3 D 造型機の中でも粉末焼結積層造形システムを活用し造形出力することにより、元来手では造形することが出来なかった内部形状までも表現することが可能となった。
“情報と物質「彫刻や絵画などアート作品には、作家が作品を完成させるまでの時間が内包されている」 “
本学彫刻科にて学んでいた学生の頃、ニューヨークに行った時に杉本博氏の作品を目にした。その作品の内容を理解したとき、私にとってとても衝撃的であった事が今日まで繋がっているような気がする。たった一枚の写真に何時間もの時間が表現されていたのである。
私は彫刻を学んだが、作家として活動してきた訳ではない。わたしにとって彫刻は素材を扱う行為が不自由であり、即座に形となるある種のライブ感を持ち合わせた作品制作を求めていたのかもしれない。デッサンやクロッキーをするかのように自由な動きとその時間をも表現する。私は時間や動きの軌跡など見えないもの(情報)を見たいという欲求により、現実空間に立体として形にしたかったのである。彫刻制作から離れ、デジタルでのものづくりに携わり、削る・造る行為が作品ということではなく、作品構想からダイレクトにアウトプットするという制作方法があることを知り得た。現代のデジタル技術を駆使して時間・動きこれらを情報化することにより物質という目に見えるものに置き換えることが可能となったのである。
今日、デジタル分野の進歩は目覚ましく、様々な現場でデジタル情報を多種多様な形に変換することが可能となった。今回の展示はアート分野においてデジタルファブリケーションの多様性の確認と再発見の場でもある。しかし忘れてはいけないのはアート作品では、作品としての個人をどう表現するか、作品を創る上でそれまでのプロセスやコンセプトが重要なのである。情報と物質の狭間に隠されているそれこそが作品の最も重要な本質である。“制作”その行為こそが情報の集積であり、物質として置き換える行為を経て“人”の可能性が再認識されるのではないだろうか。現代の最新技術や3D プリンターやレーザーカッター等を使ったからと言って、全てがアート作品と言える訳ではない。アートにおいて例えば写真と写実絵画の違い、彫刻とフィギュアの違いといったように、造り手側がデジタルを使う意味を考え、プロセスに必要な手法を導かなくてはならない。情報と物質が容易に扱えるようになった時代だからこそ、それらデジタルファブリケーションを次代に繋げるための正しい選択をしなくてはならないと私は思う。
3Dアート作品制作、人体臓器の3D製作、文化財や美術品の3D研究開発を行なっている。
MOA Creationとしては彫刻家 長田堅二郎とユニットを組み、主に3DモデリングソフトFreeFormを活用した彫刻的思考とデジタル技術を融合させた手では造れない形の表現を目指している。
MOA Creation 代表
1979年 神奈川県生
2005年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻 修了
2008年~現在 MOA Creation 設立
2009年~現在 ライフサイエンス統合データベースセンター 外来研究員
2011年 東京藝術大学 総合芸術アーカイブセンター3Dプロジェクト 特任助教
2013~現在 東京藝術大学 アートイノベーションセンター 非常勤講師
「in side sign」
2008年 天王洲アイルアートホール展示作品
「+ landscape」
2011年 Tokyo Designers Week2011展示作品
2011年 Tokyo Designers Week2011展示作品
(長田堅二郎×今井紫緒)