« mtrlzng I » | studio_01+yakul | スタジオゼロイチ(浜田晶則、アレックス ニゾ)+ヤックル(穴井佑樹、大山宗哉)

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Studio_01+Yakul 『Epoch Ⅰ』

雨が降り、風が吹き、その繰り返しによって、砂は堆積する。

その砂は岩となり地盤となり、年月を経て地層を形成する。

動植物や人の行動を砂は記録する。

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長い年月のかかるこの自然のプロセスを、ポリメリックサンドとロボティクスを用いることで高速化し、時間と空間の流れを圧縮した気候をつくる。

多くの無名の人々の行動によってつくられる彫刻。

※会場に設置された複数のカメラによって人の行動を記録し、ポリメリックサンドとロボティックスによって彫刻化する。
日夜、会場の様子を反映して変化していく。

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[essay: 情報と物質とそのあいだ]

 

僕らは出力にとても時間のかかる低解像度プリンターのような作品 「epoch」 をつくりました。
今回のテーマ「マテリアライジング」はデジタルデータを物体として実空間に出力することだと考えています。ただ、そこには現在の技術ではどうしようもない問題が2 つあります。

一つは、「解像度・分解能・再現性」です。モニターで見ているものと100%同じものを出力することはできません。なぜなら職人やロボットでも決まったサイズぴったりに素材を加工することが難しいからです。もう一つは、「出力・完成するまでの時間」です。モニター上に3Dデータを描くことにくらべて、データを物質として出力するのにはすごく時間がかかります。

テクノロジーを利用した創作は、一見、その時代の技術限界との戦いのように思えますが、必ずしもそうではないと僕らは考えています。僕らは時代の技術限界に対して挑むのではなく、その限界の存在によって導かれる視点を利用することで、現在だからこそできる発想や使い方、表現に価値があると考えています。技術合戦になってしまい、来年には価値の無いものになってしまうからです。デジタルカメラの画素数が足りないという人はもういません。むしろフィルタや共有の方法に価値が見出されている時代です。時代は常に更新されていくのです。

今回僕らが展示している作品「epoch」は、砂というさらさらした素材を使うことで、コンピューターで難しいシミュレーションをすることなく、なめらかな曲線を作りだします。砂のもつ質量や粘性に対して最適な制御点をあらかじめ設定することで、より自然な曲面を生成させます。これは解像度を上げるというアプローチではなく、少ない制御点の間を自動的に補間しながら曲線を描く、いわばベジェ曲線のようなアプローチです。また「epoch」は、会期中15 日間かけて出力される、とても時間のかかる3D プリンターのような作品です。僕らは出力に時間がかかることは限界ではなく、人々が参加できる時間的な余白だと考えています。会期中訪れる人々の動きによって形は変わり続け、その軌跡は砂のグラデーションとして記録されます。人の歩くところが100 年後、道になるようにです。

 



[略歴] (2013/06)

studio_01
建築・プロダクトの設計事務所。一つのモノをつくるのではなく、一つのシステムをつくることで、パーソナライズできる汎用性・普遍性のある価値を生み出すこと。それを日本の文化や哲学から学び、フォルムとアイディアの両方の側面から現在を更新しようと試みている。
http://blog.studiozeroichi.com/

作品
to-Kitchen, 惣菜カフェ
dolphin house, SD review2012出展作
barcode room, Tokyo Designers Week 2012出展作, エイブル空間コンペティショングランプリ
mildendo, 東京都現代美術館ブルームバーグパビリオンコンペティション優秀賞
kumiki, アート亀山2012出展作

浜田晶則
1984年 富山県生まれ
2010年 首都大学東京都市環境学部建築都市コース卒業
2012年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了
2012年 studio_01共同設立・主宰

Alex Knezo
1987年 アメリカ合衆国ジョージア州アトランタ生まれ
2007年 坂茂建築設計事務所
2008年 スティーヴン・ホール建築設計事務所
2009年 プリンストン大学 工学部 土木学コース卒業
2009年 ノイズアーキテクツ
2012年 studio_01共同設立・主宰

yakul

東京をベースにしたインスタレーション設計、画像処理、ハードウェア、UI/UXの専門家からなるグループ。
プロジェクト毎にメンバーを変えながら企業のインスタレーションや研究開発を行う。

展示・ライブ

2010
Interferenz tokyo seeds 2010 [Performance withTakashi Ikegami(ATAK/東京大学) VACANT,Tokyo,jp
super-ultra-great-media-art.org [Performance with Evala(Port/ATAK) NTTInterCommunicationCenter , Tokyo, jp
2009
“super-ultra-great-media-art.org” [installtion] NTT InterCommunicationCenter , Tokyo, jp
Metamorphose09 [Performance with Tripon(Manabe Daito + vokoi + TCY) ]Cycle Sports Center, Shizuoka, jp.
2007
Communication 07 [Installation for sony music communications] HarajukuQuest hall, Tokyo, jp.
Metamorphose 07 [Performance with Tripon(Manabe Daito + vokoi + TCY) ]Cycle Sports Center, Shizuoka, jp.

穴井佑樹
1987年 大分県生まれ
2006年 チームラボ株式会社 開発Div. 所属
2010年 千葉工業大学情報科学部情報ネットワーク学科 卒業
2012年 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 在籍中

大山宗哉 Sohya Ohyama
1985年 東京都生まれ
2008年 明治大学経営学部経営学科卒業
2008年 東京藝術大学非常勤講師(2010年まで課外授業・公開講座を担当)
2010年 明治大学大学院理工学研究科修了
2010年 チームラボ株式会社カタリスト

http://yakul.jp/


 studio_01の主な作品

studio_01

「dolphin house」(プロダクト住宅, SDreview 2012 出展, 2012)

yakulの主な作品

studio_02

「on the ground – invisible, inaudible -」(installation, 2012)