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noiz architects 『線入力三次元ボロノイ図形による構造体のスタディ』

素材:熱可塑性ポリエステル3軸織物(T.W.F.Ⓡ)、スタイロフォーム、アイロン

材料協賛:サカセ・アドテック株式会社

一般的な点入力による三次元ボロノイパターンの発展形として、三次元の曲線や曲面を入力要素とした発展的な三次元ボロノイ図形の生成プログラムを作成した。これにより複雑な幾何学形態の生成でこれまで一般的だった数式による入力とは異なる、より直接的かつ直感的な複雑幾何形体がかなり自由に生成できるようになる。その一環としてノイズでは、多様に生成される複雑な幾何構造を、どういう要素、構成に落とし込んで物理的に再構成するか、そこにどういった情報や効果を組み込むことができるか色々と実験をしている。CAD データの段階ではスケールや素材感などを持つ必然性がない構造でも、物質化をする段階では求める効果や表現の可能性に応じ、絶対的なスケールや素材感、光の透過性、その他多くの属性の組み合わせが、圧倒的に微妙かつ大きな力を持つようになる。体験する人との関係性において、展示する大きさや場所、高さなどによる違いと共に、ごくローカルなスケールから中間的、グローバルなスケールまで、さまざまな階層の要素の組み合わせによる効果の違いが与える影響を、この機会に大きなスケールでのアウトプットで試してみたいと思った。


 

[essay: 情報と物質とそのあいだ]

 

建築とは、おそらく情報です。いわゆる建物という静的な三次元の物質は、そのごく一部の(でも同時に一番大切でもある)表出でしかなくて、その関係性がここ10 年ほど、以前とは違う姿を見せ始めているように思います。

情報と物質というのは、対峙するような概念ではない。どちらがどちらを包含するというようなものでもなく、ゆるやかに相互に入れ替わり、影響を与え合う不可分の連続体なんじゃないか。最近、デジタルな計算技術も使いながらデザインをしたりモデルの生成原理を考えたり、実際に物やシステムに落とし込んでいく作業や議論をチームでやっていると、そういうことを本気で感じ始めたりします。頭での理解もそうですが、体の理解としてそう思えてくるんです。

物に質感やニュアンスがあるように、情報にも同様の性質があるはずです。逆に、物の質感や歴史、化学的性質などの建築に不可欠な要素は、それ自体が複合的な情報です。

経験や感性といった他人と共有することが難しかったものが、貨幣的に共有、流通可能なシステムに落としこめたら、きっと新しい可能性が開けるんじゃないか。建築デザインのメタレベルにある論理構造が美しいとき、物の構造が美しいときと同じような感動や機能が生じます。それらは独立しているようでいて不可分に相関しています。情報は本質的に動的です。それなら建築ももっともっと動的であるべきでしょう。等々。

何かをつくる時、これまでよりも多様な次元や関係性のあいだを行き来しながら考えられる、構築できる、評価できる、それらの美しさを、ニュアンスを味わい興奮することが出来る。最近はそこがどうにも面白くてたまりません。

 



[略歴]

noiz / architecture, design and planning は、豊田啓介と蔡佳萱のパートナーシップにより、2007年より活動を始めた建築・デザインの活動体。東京と台北を拠点に、コンピュテーショナル・デザインによる設計、施工を建築やインテリア、アートなどのプロジェクトで実践している。

http://noizarchitects.com


[主な作品]

noiz_01

ワイヤーフレーム家具シリーズ(台湾)

MoNTUE//北師美術館(内装、サイン、常設アートワーク.台湾)