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(KCUA特別研究助成プロジェクト)

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(撮影:来田猛)

『どっと&こんま』

造形協力:丸紅情報システムズ
3Dモデル制作協力:砂山太一(京都市立芸術大学特別研究プロジェクト).


 

[essay: 情報と物質とそのあいだ]

  
 超アナログの粘土という可塑的自然素材からできる陶の形態を、デジタルデータ化し、3Dプリントによって大きさや素材を置き換える。これは、形のない情報や「何か」をマテリアライズする本展の意図とは逆のベクトルである。

 陶芸という分野において、私は手によって直接粘土で形態を発想しているが、陶のうつわ状の形体は断面を積み上げて作られ、表裏を持つ中空の構造物であり、トポロジカルな構造も手によって紡ぎ出せる。この原始的な粘土の紐造りは、積層による3Dプリント出力と同じプロセスをたどっている。デジタルファブリケーションの技術を工芸の手の思考からアプローチすることで、情報優位の現代における自然素材の意義や手で作ることの意味を問い直したい。

 



◉[III]出展者プロフィール

「デジタルファブリケーションによる3D アーカイブの基礎的研究」
(平成25 年度 京都市立芸術大学 特別研究助成プロジェクト)
本プロジェクトでは、建築やプロダクトデザインで開発されたデジタルファブリケーション技術を造形・工芸分野に応用し、いままで試みられなかった立体造形物の3D アーカイブのための基礎的研究を行っている。
デジタルファブリケーションは美術や工芸の分野にも新しい可能性を広げることができると思われる。従来、立体造形や工芸などの作品は、画像や図面等によってしかアーカイブ化できなかった。しかしデジタルファブリケーションの技術を応用すれば、立体造形や工芸などの作品のフォルム・表面を正確にデータ化し、さらに3D プリントや光造形、3D 研削によってコピーを作成しデータとして保存できると同時に、3D モデルによって現実的・身体的に検証するための研究材料となりうる。
本研究では、実際に造形作品の3D スキャニンングや3D 成型によるモデル制作を行いながらその方法を模索する。芸術的および工学的な視点からその過程を検証し、実践的な研究成果としてスキーム化し教員や学生に公開する事によって本学の研究教育水準の向上に資する。

本研究では、実際に造形作品の3D スキャニンングや3D 成型によるモデル制作を行いながらその方法を模索する。芸術的および工学的な視点か
らその過程を検証し、実践的な研究成果としてスキーム化し教員や学生に公開する事によって本学の研究教育水準の向上に資する。
砥綿は文化庁在外芸術家派遣制度の研修生として、ヨーロッパの先駆的なコンピューティングの研究を行なった。また石原、中原は3D コンピューティングによる造形実験として、独自のプログラムを開発し、2010 年に京都国立近代美術館で開催された「生存のエシックス」において「盲目のクライマー/ライナスの散歩」として実現している。また重松は自身の作品を3D 映像にする実験を試みている。砂山はパリにおいて3D による建築設計や作品を発表している。辰巳はルーブル美術館との共同研究によるアーカイブ研究を行なった。
本展では、そのプロジェクト研究から、中原浩大と重松あゆみの作品を発表する。

メンバー:砥綿正之(研究代表者), 石原友明, 中原浩大/
砂山太一(共同研究者), 重松あゆみ/ 辰巳明久(研究協力者)

◉造形協力:丸紅情報システムズ

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